アラフォー女子154cmがバイクの免許を取った話。

運動音痴のアラフォーがなぜか急に普通自動二輪免許を取りました。

アラフォー女子バイクの免許を取る③

5.やり直しの日々

 実は車の免許取得の時、一時間もやり直したことがない。卒業検定まで、全て一回でクリアした。何故ならやり直しでお金がかかるのが嫌だったからものすごい気合いで毎度臨んでいた。その記憶があったもんだから、バイクの教習もさくさく行くもんだと思っていたのである。しかし当然ながら、そんな考えは甘々であった。あの日、VIPコースに決めた自分を褒めてやりたい。だって、第一段階のすべてを二回ずつやり直したのだから。スラロームに至っては三回。あ、初回とシュミレーションに関してはやり直しはないそうです。

 教習開始三日目にして、すでにスケジュールが狂い始めていた。実車やり直しになっても次の実車であてがえるが、間にシュミレーターなどが入っているとそこを実車にはできないからだ。いちいち、その月全てのスケジュールを出してください、となる。しかしそうなると、他の教習生のスケジュールがもう抑えられた状態で新たに組んでもらうので、全然予約が取れなくなる。なにしろ、VIPコースは優先的に予約を抑えてもらえるが、

 普通のコースでは次の教習三週間後、だとか、キャンセル待ち朝から並んで取れないとか、そんな状態なのだ。

 その上、次の教習の予定日は台風上陸するというではないか。奇しくもその日は目標停止で四十キロ出さなくてはいけない。四十キロを恐れていた。
前日はやり直しだったので時間が余り、モトクロス先生が「次の時間の予習やっちゃいましょう。二人乗りして回ります。」と言い出した。

 この時まで、普通自動二輪にタンデムしなければならない項目があるのを知らなかった。知っていたらバイクの免許を取ろうなんて思わなかった。ここに来て詐欺にあった気分だ。「こわい。」と、声に出ていたのをモトクロス先生は聞き逃さず、大丈夫大丈夫、と乗せられて走り出す。当たり前だが大丈夫なわけない。こちとら、幼少期にスピードのトラウマ抱えているんである。モトクロス先生は何やら説明してくれてるが全然聞いていなかった。恐怖から「いっそ手を離してしまった方が楽になれるのではないか?」という不健全な思考と闘っていた。

 先生がしっかりホールドしてくれるので、実際はかなりな力で振り解かないと落ちることはないと思われたが。

 そして、これは「次の時間の予習」なのであり、次の時間は初めましてのオシャレ先生であった。オシャレ先生は眉毛をアートメイクしている。美容に気を使っていらっしゃる。
 当然、タンデムをしてコース内のギアチェンジのタイミングや加速ポイントを教えてくれるという。オシャレ先生は「早速二人乗りで所内回りましょう」という。

 直前のコマでトラウマ恐怖体験をしていたので思わず拒否。オシャレ先生びっくり。拒否してくる生徒なんていないんだろうが、無理なもんは無理なのである。おかげでこの時間のタンデムは逃れられたが、オシャレ先生に一度で覚えられてしまった。

 まぁとにかく、四十キロこわい。湿潤路面で四十キロ、しかも台風。死ぬな。いのち大事に。ということで、教習所に電話をかけてキャンセル手続きをする。この時点で、「十月中の卒業は無理です。」と宣告される。まぁ、そりゃそうか。第一段階人の倍やってるもん。その時、受付のできる女子が素晴らしい提案をしてくれた。シュミレーションや学科は取らず、実車だけの予約を取るのである。シュミレーションなどはキャンセルが拾いやすいため、後から組み込んで、現在三週間待ちなんてザラ、な実車を抑えておく。

 これで毎度毎度一月全部のスケジュール提出していたストレスからフリーになった。素晴らしい叡智、実車だけ予約。これから教習通う人はぜひ参考にしていただきたい。


 この頃、「前輪ブレーキをかけてるつもりなのにアクセルを開けてしまう」病を発症していた。

 スラロームクラッチとリアブレーキを使い、ちんたらちんたら走っていると(しかし本人には相当なスピードに感じられているんですよ、これが!)五本目でその症状が現れ、ついにパイロンを吹っ飛ばし粉々にしてしまった。

 一応、オシャレ先生と原因究明のためディスカッションしてみるが、コレといった解決策は見つからなかった。



6.りくつ先生現る

 

 なんでうまくいかないのか?すごく怖い!何故こんな怖いことに挑もうとしてしまった自分! と、毎日緊張しながら通っていた。しかしある日、りくつ先生に出会うのである。りくつ先生は恰幅が良くニコニコしていて声が大きくて感じの良い先生であった。 りくつ先生が「苦手なものは?」というので「全部!」と答えたらなんと、実車の時間にも関わらず、半分以上お話の時間になった。しかしこれがのちのち、大変な成果をもたらすのだ。

 うまくいかないことを全部ぶちまける。
・教本にはシートにはすっとまっすぐ座ると書かれているが、そうすると腕がつっぱる。↓前傾姿勢になって肘に余裕を持たせる。
・手が小さくてクラッチ、ブレーキレバーがうまく握れない。ブレーキをかけながらアクセルを全開にしてしまう。↓肘をつっぱらないことを意識する。
ニーグリップが疎かになる↓つま先を内側にして座る。

 では実際やってみようということになりスラロームに挑戦すると今まで必ず五本目を轢き殺していたのに、タイムクリアはできないけれども当てることは無くなった。アクセルは開かなくなったし、ニーグリップは意識しなくても開かないようになった。

 次は目標停止をやってみることに。いつものように怖々四十キロ出し、パイロンを過ぎたところでブレーキをかけた。ら。つるりと摩擦がなくなったような感触。
「これが!うわさの!!前輪ロックーーー!!!MotoGPみたい!」
 と脳内テンション上がると共に、当然こける。怪我の確認をされるがこの頃にはこけるのだけは上級者、前輪ロックでこけてもアザの一つもできてはいなかった。不思議なことに、この日を境に恐怖心が薄れるのである。

 そしてこちらも不思議なことに、あんなに乗るのが憂鬱だった電車にも、以前のような気分で乗ることができるようになっていた。(しかしまだ快速には乗らない。) 



7.二段階目へ

 

 急に課題もさくさくやれるようになり、クランク、一本橋はまだ不安定さが残るものの、一段階見極めも問題なく(二回やったけど)、ついに二段階へ。ここからは早かった。全てを一回でクリア。二段階見極めの日には、モトクロス先生のエンストという滅多に拝めないものまで見られてほくほくしながら終了した。





 卒業検定編へ続く。