アラフォー女子バイクの免許を取る①
1.それは突然に
2015年MotoGPオランダ戦。画面に映されたトップ争い。HONDAのマルク・マルケスとヴァレンティーノ・ロッシが激しいバトルを行っていた。ロッシがグラベルに跳ね出され、普通の選手なら転倒するところ、見事にコースに復帰、そのレースに勝利した。魅了された。画面からも伝わってくる何かがそこにあった。
そこから、すっかりMotoGPにハマり、ツインリンクもてぎに実際に観戦に行くまでになるのに時間はかからなかった。
しかし、まだその当時、自分がバイクに乗ることは考えなかった。なぜなら、幼稚園生の頃、近所の小学生のお姉さんが運転する自転車に二人乗りし坂を猛スピードで駆け下りた時怖くなって手を離して落車、頭を打ったことがトラウマになっていたからである。こちとら現在アラフォー。なのに何十年も前のこの恐怖体験を今でもはっきりと覚えている。それくらい怖かった。バイクは見るもの。そう思っていた。
大人になってパニック障害を発症した。ひどいと電車に乗ることができなくて一時間以上歩いて帰ったり、何本も見送ったり、早起きして空いている電車に乗ったりと、多少生活に影響をきたしていた。それに加えて、今度の仕事場は最寄駅から三十分以上歩いたところになる。そこでふと、バイク通勤はどうだろう?と思い至る。
50ccなら、普通自動車免許を所持しているからすぐに乗れる。でも、二段階右折ってなんか難しそう。125ccなら二段階右折をしなくていい。
それに、最短二日間の教習で取得できるようになったと教えてもらった。そうだ、125ccに乗ろう。ゆるキャン△のリンちゃんがヤマハのトリシティ125ccに乗ってるイラストを見て、いいなと思っていた。そう、アニメ好きですぐに影響されるのだ。
あ、そうそう、アラフォーだろうとアラカンだろうと、女子は女子。その件、異論は受け付けません。異論がある人はそっとばつ印を押すのがオススメ。
思い立ったら即行動、近所のYSPへトリシティのリーフレットをもらいに行く。
店の外にトリシティ300ccがあり、その大きさとごつさに驚くが、中にはもっとごついものがたくさんあった。この時、トリシティ以外のバイクの名前を知らなかった。そんな人間にもYSPの店員さんは大変親切である。背が高くて、細身のひょろっとしたひとであった。
「 バイクお探しですか?」
「トリシティ見に来て・・・、でも二輪の免許持ってないんです。」
「あ、教習所の割引券ありますよ。 」
「バイクの引き起こしできなくても教習受けられますかね・・・ 。」
「大丈夫ですよ!僕も教習受けた時起こせなかったけど、今はすぐ次行きましょうってなりますし、女性なら通りすがりの人が助けてくれますからね。あの、あそこのホームセンターの駐車場の坂でここの女性のお客さんがこけてて起こせなくてずっとやっててだれも助けてくれなかったんですけど、ヘルメット脱いで女性だってわかったら5人くらい男の人が来て助けてくれたって言ってましたよ。 」
「そういうの、Twitterではよく見かけますけど、本当にあるんですね! 」
お礼を言って家に帰り、早速割引券を貰った教習所に資料請求をした。